材質情報

ミーハナイト規格 特性 製品名
片 状 黒 鉛 鋳 鉄 GM~GA 片状黒鉛鋳鉄として最大の強さをもち、耐摩耗性にもすぐれています。組織は緻密均一で、焼入性もよく大型鋳物として適当です。 印刷機械シリンダー、ギヤー、メタル、工作機械テーブル、コラム、サドル、各種ロール、クランクケース、バルブほか一般機械鋳物部品
GB~GC 強靭鋳鉄の代表的なもので、引張強さが大きく潤滑性もよく、耐圧性が大で、耐圧物に適しており、また焼入可能です。
GD~GE 一般機械鋳物で普通の強さをもっています。切削性がよく減衰能が高くて、騒音・振動の吸収がよいものです。 印刷機械フレーム、各種ベッド類、ギヤーケース、カバーほか
球 状 黒 鉛 鋳 鉄 SH~SP 厚肉鋳物で、高い引張強さと弾性率をもっています。炎焼入および高周波焼入ができます。組織はパーライト地で強い衝撃と内部応力に耐えます。 印刷機械シリンダー、ギヤー、メタル、高圧シリンダー、ポンプケーシング、インジェクションマシン部品、バルブ、クランクシャフトほか
SPF~SFP 鋳放しで高い引張強さと靭性をもっています。組織はパーライトとフェライトの混合で、強度と靭性のバランスが特に必要とされる機械部品に適します。
SF 延性、靭性があり、衝撃にも強く、切削性がよく耐圧鋳物部品にも適しています。 各種機械部品、バルブ、鋳鋼代替品
SFF 完全フェライト地の組織で靭性と衝撃に最もすぐれ、低温用部品として用いられます。 低温用ポンプ、バルブ、カップリングなど
特殊材質 このほか、耐熱用(Hタイプ)、耐摩耗用(Wタイプ)、耐食用(Cタイプ)などの特殊鋳鉄があります。 (鋳造可能製品重量) 5kg~20,000kg

■ 鋳鉄諸性質

GM 400 GA 350 GB 300 GC 275 GD 250 GE 200
片 状 黒 鉛 鋳 鉄 引張強さ(以上) N/mm2 400 350 300 280 250 200
抗折最大荷重(以上) N 14,200 13,400 13,000 12,500 11,300 11,200
抗折たわみ(以上) mm 6.8 6.8 6.8 6.3 5.4 4.9
ブリネル硬さ HB 210/280 200/240 190/230 185/225 180/220 170/210
比重(20℃) 7.4 7.3 7.3 7.25 7.2 7.1
SFF 350 SF 400 SFP 500 SPF 600 SP 700 SH 800
球 状 黒 鉛 鋳 鉄 引張強さ(以上) N/mm2 350 400 500 600 700 800
0.2%耐力(以上) N/mm2 220 320 330 390 460 520
伸び(以上) % 20 15 10 4 2 2
ブリネル硬さ HB 130/160 140/190 170/230 200/260 220/280 260/320
弾性係数 X103 N/mm2 160 170 170 180 180 190
比重(20℃) 7.1 7.1 7.1 7.1 7.2 7.2

■ 各国規格比較表

国名など 規格記号番号 制定(確認)年度 片状黒鉛鋳鉄
ジャパン・ミーハナイトメタル J.M.M. 1995 GM 400 GA 350 GB 300 GC 275 GD 250 GE 200
ISO ISO 185 ISO 185 350 300 250 200
日本 JIS G5501 1995 FC350 FC300 FC250 FC200
アメリカ ASTM ASTM A48M 1994 400A,B,C,D 350A,B,C,D 300A,B,C,D 275A,B,C,D 250A,B,C,D 200A,B,C,D
SAE SAE J431 1996 G4000 G3500 G3000 G2500
イタリア UNI ISO 185 1991 350 350 250 200
イギリス BS EN 1561 1997 EN-GJL-350 EN-GJL-300 EN-GJL-250 EN-GJL-200
ドイツ DIN EN 1561 1997
フランス NF EN 1561 1997
ロシア GOST 1412 1985 SC35 SC30 SC28 SC25,SC24 SC21,SC20
国名など 規格記号番号 制定(確認)年度 球状黒鉛鋳鉄
ジャパン・ミーハナイトメタル J.M.M. 1987 SFF 350 SFF 400 SF 400 SFP 500 SPF 600 SP 700 SH 800
ISO ISO 1083 1995 350-22 400-18 400-15 450-10 500-7 600-3 700-3 800-3
日本 JIS G5502 1995 FCD350-22 FCD350-22L FCD400-18 FCD400-18L FCD400-15 FCD450-10 FCD500-7 FCD600-3 FCD700-2 FCD800-2
アメリカ ASTM ASTM A536 1995 60-40-18 65-45-12 60-42-10 70-50-05 80-55-06 80-60-03 100-70-03 120-90-02
SAE SAE J434 1986 D4018 D4512 D5506 D7003 DQ-T
イタリア UNI ISO 1083 1987 350-22 400-18 400-15 450-10 500-7 600-3 700-2 800-2
イギリス BS EN 1563 1997 EN- GJS-350-22LT GJS-350-22RT GJS-350-22 EN- GJS-400-18LT GJS-400-18RT GJS-400-18 EN-GJS- 400-15 EN-GJS- 450-10 EN-GJS-500-7 EN-GJS- 600-3 EN-GJS- 700-2 EN-GJS- 800-2
ドイツ DIN EN 1563 1997
フランス NF EN 1563 1997
ロシア GOST 7293 1985 Vch 35 Vch 40 Vch 50 Vch 60 Vch 70 Vch 80

鉄は鉄鉱石に大量のコークスを与えて溶鉱炉で作られます。この際あり余る炭素は鉄の中で結晶黒鉛となって纏められ、鋳鉄が誕生します。この天の恵みとも言える黒鉛は鋳鉄に鋼にはできない役割を与えました。鋳鉄はこれまで多くの研究者によって黒鉛の形から3つのグループに分類されて、地鉄組織と協力してそれぞれの役割を果たしております。
片状黒鉛鋳鉄(FC) CV鋳鉄(FCV) 球状黒鉛鋳鉄(FCD)
黒鉛の形状 片状黒鉛鋳鉄(FC) CV鋳鉄(FCV) 球場黒鉛鋳鉄(FCD)
特徴 流動性、経済性、振動吸収、熱伝導 高めのヤング率、引張り強さ、無欠陥性 ヤング率、引張り強さ、伸び、破壊靭性
用途例 各種産業機械全ての部品、複雑形状品 超精密機器ベース定盤、高応力軽量化機器 精密印刷機ロール、ギア、半導体製造装置
引張り強さ (N/mm2) 200~350 400~500 400~800
伸び (%) 2以下 2~5 3~20
ヤング率 (GPa) 100~130 140~160 165~175
硬さ (BHN) 180~260 120~230 120~270
規格 JIS JIS G 5501 設定なし JIS G 5502
ISO ISO 185 ISO PRF 16112(審議中) ISO 1083
USA ASTM A 48、SAE J 431 ASTM A 842、SAE J 1887 ASTM A 536、SAE J 434
ドイツ DIN 1691 VDG W 50 (国際規格化審議中) DIN 1693